1991/8/13 勝浦修九段—藤井猛四段(全日プロ)

感想

勝浦修九段との対局。往年の名棋士との戦いが続く。

藤井四段の四間飛車に、勝浦九段は右四間飛車+天守閣美濃~米長玉銀冠に構えた。角道を止めず攻め味を見せつつ玉を堅く囲え、今でもよく指される。非常に手強い形だ。右四間飛車に対し藤井四段が腰掛銀で対抗した。これも今の目で見れば新鮮な手だ。

中盤、勝浦九段が突然☗3五歩から仕掛けてきた。桂馬を活用する前の仕掛けだったのでかなり驚いた。それに対して☖4三金から収めたのは参考になった。ただ52手目☖6五歩の局面は先手に主導権があり後手不満ではないかと思う。次の☗2五桂は満を持しての仕掛けに見えた。

数手進んで先手が香得。徐々に先手の利が目に見えてきた。王手金取りの土台となる☖8五歩に対し、受けずに☗4五歩としてきたところに勝浦九段の自信が感じられる。☗4四歩☖同角で角を好位置に転換できるので一瞬だけ喜んだが、☗4五歩で角の行き場所が難しい。勝浦九段は☗3四飛~☗3二飛成と悠々と勝ちに来た。藤井四段は歩の成り捨てで時間を稼ぐテクニックも使って何とか追い込もうとするが☗7八玉まで行くとどうしても捕まらない。

本局は勝浦九段の指し回しが素晴らしく、藤井四段の良いところが封じられたように見えた。しかし藤井四段も☖5四歩(48手目)に44分投入するなど、3時間みっちり使い切った。こうした読みの蓄積が後々の藤井先生の棋士人生の糧になったに違いない。

評価値

評価値(Suisho5(20211123)-YaneuraOu-v7.6.1/1手15秒)

勝浦九段の快勝譜だった。やはり居飛車に堅く囲われた状態で仕掛けさせてはならない。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第10回全日本プロトーナメント(主催:朝日新聞社)