1993/3/16 中川大輔五段—藤井猛四段(順位戦)

感想

第51期順位戦最終局は中川大輔五段との対局。藤井四段はここまで7勝2敗で、昇級の目が無い訳では無いが、勝たなければチャンスが無い状況。中川五段は6勝3敗で、こちらも少なくとも勝利が必要。

戦型は藤井四段の四間飛車に中川五段の玉頭位取り。玉頭位取りだが、それは許さんと☗7五歩にすぐ☖7四歩と反発した。気合いだ。さらには☖7二飛の援軍も入り、玉頭位取りを許さないという藤井四段の主張は成功した。

しかし、この後5筋に金の三連星が現れ、中央に物凄い厚みを築いた。75手目の局面はしっかりと5筋の位を確保したところで、中央の制空権と後手の3二銀が使いづらさで先手が指しやすい形勢ではないかと思う。

藤井四段は徐々に中央の厚みを削っていくが、中川五段はその攻防で手にした小駒を次々と後手陣に投入し、薄い後手玉の弱点を突いてくる。しかし91手目☗4二金はややそっぽの金で、後手にチャンスがありそうな気がした。☗3二金と銀を取って飛車を成り込めるようでも、☖5二金で銀を取ることができる。既に約5時間を超えているところ、ここで36分の長考。長考の末に出てきた☖4八歩はなんとなく印象に残った。

苦しい中の勝負術か、それともチャンスが来たと思って捻りだした手か。もちろん普通に好手かもしれない。こうした手は藤井四段の感情を妄想するのに最も適している。

この後、☗2五角というまたもや意表の手が出た。中川五段の攻め駒は飛車1枚だけになったが、その飛車だけで裸玉と言える後手陣を荒らされてしまった。☗4二金が妙に抑えの駒として利いていた。一方後手玉はまったく寄らなかった。

順位戦2期目は7勝3敗で終了。順位は18位→8位と上がったが、昇級を狙えるペースで進めることができていただけに不本意なところもあったと思う。

評価値

評価値(Suisho5(20211123)-YaneuraOu-v7.6.3/1手15秒)

中川五段は厚みは築いたものの難しい勝負が続いていたようだ。中川五段が飛車1枚になったところは後手にかなり振れていた。正しく受ければ実際には攻め駒不足だったということだが、☗2八飛が成り込む変化もあるので受け切るのは相当大変だと思う。このグラフを見て改めて棋譜を見返すと、☖8五角と攻防の手に活路を求め、その角を最終的に取られてしまったということに気付く。非情な投了図だった。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第51期順位戦C級2組(主催:毎日新聞社、日本将棋連盟)