感想
北村昌男八段との対戦。北村八段とは非公式戦も含めて3局目で、これが最後の対局となる。
戦型は相振り飛車。3局とも異なる戦型となった。
18手目☖3六歩。
ここを抑えるのがポイントなのは藤井将棋で倣ったが、本局この手を指したのは北村八段。☗4六銀と出て3筋を巡る攻防になった。
33手目あたりで☗3五歩と指せないかと思ったが、☖5五歩の切り返しがあるようで、無条件で☖3六歩の取り払うことはできない。
42手目☖3五角から北村八段好調を思わせる手順が続く。駒の勢いが良い。藤井四段の方の☗8八角は、よく働いているとは言えない。
62手目☖3九銀は一瞬「喰らってしまった」と思ったが、当然読み筋で、藤井四段はギリギリの凌ぎを見せる。
71手目☗3三歩で攻めが止まっているか、いや☖2一飛で攻めが続いているか。いやいやしかし80手目☖2六飛と走るのは☗6三銀が厳しいか。北村八段が調子よく攻めていたと思ったが、北村八段の攻めも細く、また藤井四段もギリギリのところでカウンターを狙っており、形勢不明の激戦にも思えた。
そこで放たれた80手目☖3五金が見えづらい馬の捕獲の仕方だった。
ここを☖4三金打では☗2五馬の余地も残る。結局飛車と馬の交換にはなるのだが、この一連の手順で飛車を捕まえるために藤井四段は銀を投入せざるを得ず、馬銀と飛車の交換になった。この銀1枚は大きい。
北村八段は早速この銀を使って寄せに入った。後手玉は寄らず、藤井四段の負けとなってしまった。藤井四段の角は最後は逃げるのに邪魔な駒になってしまい、悲壮感漂う投了図だった。
評価値
なんと101手目、☗7九桂という、これまた見えにくい受けで藤井四段が逆転している変化があったようだ。詰めろが続かなければ確かに藤井四段勝ちだが、これで凌げているとは。時間が残っていればというところだっただろうか。
参考文献
- 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)
棋戦情報
第63期棋聖戦一次予選(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)