感想
河口俊彦六段との一戦。河口六段とは2戦目で過去藤井六段の1勝。
河口六段も振り飛車党。藤井六段は3手目端歩を突いて河口六段に先に態度を決めてくださいと言っている。河口六段も端歩を突いて態度を明示しない。しかし雰囲気は相振り飛車だ。そこで藤井六段の方から居飛車を明示し、河口六段も角道を止める中飛車に構え対抗形が確定した。
囲いは相穴熊。相穴熊ながら、河口六段は玉と反対側に金を上がりバランスもとった。藤井六段が飛車のこびんを空けたことに反応し、中央からの捌いて☖5五角、あるいは☖7三角の転回を狙っているだろうか。しかし藤井六段は意に介さず固めていく。動くのであれば40手目が最も☖5五歩と動いていくチャンスだったと思うが、河口六段は仕掛けなかった。☗5五同歩☖同銀☗同銀☖同飛☗同角☖同角☗5八飛とすれば☗5一飛成から先手も捌ける。居飛車が香損になるが、この進行は☖3二金型で2筋に備えた意味がなくなっている。そこで再び固め合いになったが、これであれば最初から固めに行った藤井六段の方が良さそうだ。序盤は藤井六段がポイントを挙げた。
中盤、藤井六段の居飛車穴熊が理想形となり、後手陣は☖5三金の位置が中途半端な状態で陣形に差がついた。ここで藤井六段は局面を動かしていく。仕掛けに対応して河口六段も左桂をうまく捌いたが、しかし後に自陣に打たされた。藤井六段がリードを広げているように見える。
ただここまで頑強に受けられると一気に攻め倒せるものでもなく、二の矢として居飛車穴熊の金を盛り上げていった。先手における唯一の恐怖は2筋の攻めが間に合ってくることだが、間に合いそうにない。
79手目、飛車もくっつけ、これ以上ない攻撃態勢になった。この攻めは止まらない。振り飛車穴熊はバラバラになり、最後は歩の手筋が次々と刺さり、一気に決めた。居飛車穴熊は手つかずだった。
これで銀河戦予選を突破。本戦に進む。
評価値
本局も組み合い勝ち。以降さらにリードを広げているのは印象通りだった。
参考文献
- 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)
棋戦情報
第4期銀河戦予選(主催:サテライトカルチャージャパン)