1995/9/29 小野修一七段—藤井猛六段(順位戦)

感想

藤井猛九段25歳の誕生日。小野修一七段と順位戦を戦う。過去の対戦成績は藤井六段の1勝。ここまでの順位戦成績は、小野七段は1勝2敗、藤井六段は2勝1敗。

戦型は藤井六段の四間飛車に小野七段の居飛車穴熊。組ませて戦うのは過去の対戦と同じだ。42手目☖5四銀は珍しいだろうか。☖5四歩と指している印象がある。しかしそれよりも、小野七段が☗7八飛と7筋の歩交換を目指して飛車を振ったにもかかわらず、☗7五歩と歩交換することなく☗4八飛としたのには驚いた。

純粋な一手損だ。☖8三銀と銀冠を強要したのだろうか。☖5四銀型、7筋の歩交換無し。よくある形とのちょっとした違いが盤上に積み重なっている。

56手目から☖4三歩、☖6二金引、☖6三銀。堅く、非常に渋い手が続くが、後退しているような印象を受ける。☗5五銀がいばっている。と思っていたら62手目☖8五桂!単騎の桂跳ねが出た。この手はノータイムだった。☗5五銀と☗8八銀が動けば☖6六角と出て王手飛車になるような筋が生まれている。桂跳ねに対して小野七段も☗4七飛と軽く浮いて受ける。飛車の横利きが端まで通っているのが気持ち良いし、☖6六角の王手飛車の筋も受けている。振り飛車はここで何のポイントも無く☖8五桂が取られてはいけない。忙しい局面だがなかなか手が作りにくい。ここは先手が良くなっているのではないかと思った。

85手目☗4四銀まで進むと先手優位がハッキリしたと思う。振り飛車の陣形は堅かったが、5三の地点の弱点を上手く狙われてしまった。☖4一飛と引いた手も、☗4二歩の叩きに☖9一飛ではなく☖4二同飛と取らざるを得なかったところにも局面の悪さを感じる。

小野七段に丁寧に指されて指す手がなくなり、藤井六段投了。痛い2敗目を喫した。

評価値

評価値(YaneuraOu(tournament128-cl4) NNUE 20240528/tanuki-wcsc34/1手15秒)

☗8六歩と桂を取りに来られて既に居飛車が良いと思ったがまだ互角だった。☖1三角を境に先手に振れていたが、☖1三角自体は射程範囲に☗7九金を捉えており悪い手とは思っていなかった。しかしそれよりも4四の地点から殺到されるのが大きかったということだろう。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第54期順位戦B級2組(主催:毎日新聞社、日本将棋連盟)