1994/2/25 泉正樹六段—藤井猛四段(NHK杯)

感想

NHK杯予選第2回戦、泉正樹六段との一戦。

このカードは泉六段が様々な戦型を指すのでどんな序盤になるかいつも楽しみ。本局は藤井四段の四間飛車に泉六段が袖飛車を見せた。

美濃囲いの端歩を突かないのは藤井四段らしい駒組み。端よりも他の手を重要視している。袖飛車から☗4六銀と出てきたところ、☖3一銀のまま☖4五歩と反発したのが振り飛車らしい。

☖3一銀のままであったのを活かしているのが良い。☗同銀は☖4二飛があるようで、☗5七銀と引かせたのは気分が良い。その後2筋の歩を伸ばし、☖2二飛☗2八飛となった局面は振り飛車の作戦勝ちだと思う。

泉六段はその辺りの代償に玉頭に活路を求めた。☖3五歩☗同歩☖同銀と、銀がそっぽに行った瞬間に☗6五歩と玉頭から反発した。☗5五角の筋がチラつくのでやや気持ち悪い。そこで☖3三角が手堅そうな攻防。☗7六銀とじっと力を溜めるような手に☖6六歩が味良さそうな手。玉のこびんに垂れ歩ができている。そこで☗6八飛が驚きの反発だった。

☖6六歩の除去の他、その先の☗6四歩とも連動して後手陣を刺そうとしている。ただし2筋がガラ空きになった。

当然の☖2六歩に☗7四歩がなるほどの一手。☖同歩なら今度は後手玉のこびんが開いて王手飛車の筋も出てくる。藤井四段はいったん☖6四飛と玉頭をケアしたが、☖2六歩との一貫性がなく、やや予定変更のような手に見える。そこでさらに☗3二角が読みにくい手。2筋から飛車が動いたことを逆用しており、藤井四段の思考の裏を突いている。☗3二角は☗7六銀に紐をつけているのも上手い。

57手目、泉六段がいよいよ☗6六飛と歩を払った局面は先手玉への手が無くなっている。☖2四角~☖3六銀に☗6八銀が柔らかい手で、ますます先手陣が堅くなってしまった。

最後は馬で狭い美濃囲いを攻められる展開になってしまい、ここでNHK杯出場への道が絶たれてしまった。プロ入り後初めてNHK杯予選で敗れた。

評価値

評価値(Suisho5(20211123)-YaneuraOu-v7.6.3/1手15秒)

印象通り、2筋を詰めたところは後手側にやや振れていたが、その後徐々に先手の方に振れていっている。46手目☖6六歩は味が良さそうに見えて、☗6八飛という反発があるのであれば、☖3六銀と出た方が良かったということのようだ。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第44回NHK杯争奪戦本戦(主催:NHK、日本将棋連盟)