感想
筋違い角の使い手、武市三郎五段との戦い。
前回の対戦では藤井四段が先手だったが、本局は後手。いよいよ本家の筋違い角と対戦することになった。
藤井四段の対応は、伊藤博文五段戦(1992/2/18・順位戦)と同様、4筋と5筋の位を取る伝統的なものだった。その後、玉頭位取りに構え、さらに1筋と2筋、そして9筋の位も取った。非常に伸び伸びとした布陣だ。
こういう形では筋違い角に暴れられ、一箇所でも破られると苦しくなってしまうが、武市五段からの攻めもなかったようでじっくりとした組み合いが続いた。見事な藤井四段の序盤。
組み上がったところは藤井四段の作戦勝ちに見える。
その後面白かったのは、藤井四段が玉頭位取りから4枚銀冠に組み替えたところ。先手は窮屈な矢倉であり、囲いの差が大きい。捌き合いになれば後手が良いのは明らかだ。
本譜は捌き合いよりももっと上手い局面になり、後手だけが一方的に、しかも急所に馬を作ることができた。最後は取った位を有効に活用し、寄り切り。
筋違い角の良さを完全に封じた、藤井四段の快勝譜だったと思う。
評価値
後手が良いが、それほど大きく振れている訳ではなかったが、やはり筋違い角に暴れられる局面にしなかった藤井四段の上手さが光った将棋だと思う。良くしてからは一気だった。
参考文献
- 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)
棋戦情報
第3期銀河戦予選(主催:サテライトカルチャージャパン)