1992/7/21 中井広恵女流名人—藤井猛四段(王座戦) ※千日手局

感想

プロ入り後初の女流棋士との対戦。中井広恵女流名人は長い間活躍されており、私が将棋を見始めた頃、女流棋士のタイトル戦は清水市代—中井広恵戦が定番だった。

戦型は藤井四段の四間飛車に中井女流名人の天守閣美濃。☖6三金を見るとまだまだ「藤井システム」の形には至っていないようだが、6筋の位は重要視されているのは変わらないので、6筋の位を支えるためには☖6三金が必要という感覚だろうか。とは言え38手目☖8四歩を見ると、徐々に☖7一玉型のまま戦う姿が現れている感じがする。

本局においては、藤井四段は6筋の位ではなく玉頭攻めの味を優先した。この戦型は当面、序盤の手順の変化だけでもずっと楽しめそうだ。

6筋の位は取っていないが、6筋の位を取られている訳では無いのは大きく、☖6四角と出る味がある。☗3六歩と突いたのを見て、早速☖4二角~☖6四角とのぞく筋を狙い、さらに☖3五歩~☖3二飛と捌く筋を見せ、藤井四段が主導権を握った。

ここで千日手になった。藤井四段としては中井女流名人より30分以上消費時間も少なく、後手から先手になるため、不満のない千日手だったと思う。

評価値

評価値(Suisho5(20211123)-YaneuraOu-v7.6.3/1手15秒)

評価値だけ見ると、徐々に徐々に振り飛車がポイントを挙げている感じだ。☖2二飛と押しやられた飛車が☖3二飛から活躍しそうになれば基本的に不満は無いと思う。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第41期王座戦一次予選(主催:日本経済新聞社、日本将棋連盟)