感想
なんと2局続けて飯塚祐紀四段と対戦。なかなか珍しい。
飯塚四段とはこれで3戦目。過去藤井四段が上手く指せている内容ということもあったか、本局は飯塚四段が3手目☗6六歩と一瞬相振り飛車を見せてから居飛車にする変化を見せた。藤井四段は☗6六歩に対し三間飛車に構え、戦型分類は「相振り模様対抗形」となった。
飯塚四段は6筋に位を張り、玉頭に厚みを築いて模様勝ちを目指す。藤井四段は玉側の端歩を受けず、34手目ポンと☖4五桂と跳ねたのが印象的な一手。
☗5九角としっかり受けられて継続手は何かと思ったら☖6四歩だった。最初、☖6四歩に☗4六歩だとどうするのか分からなかったが、☖6五歩☗7七銀☖3八歩という手という手筋がありそうだ。以下☗3八同飛には☖2四飛☗2八飛☖3八歩☗4八角☖7七角成☗同桂☖3九銀の強襲がある。この変化は6筋で調達した一歩がぴったり活きている。本譜は☗7七銀の先受けに☖1三角という幸便な一手な間に合った。これで☗4六歩には、☖3七桂成☗同角☖3六歩☗2六角☖4六角が気持ちの良い角出。先に桂損にはなるが駒が存分に働いている。52手目の局面は飛車角交換で駒の損得はないが、☖4四馬が手厚く藤井四段が良さそうに見える。
手が進み、72手目☖7九金がまたも印象的な一手。
そもそも一段目に金を打つのは見えにくいし、☗3九飛が馬に当たる逆先の手になる。そこで☖6六歩という決め手級の一手があった。まったく見事な流れで惚れ惚れする。そこから☗7四桂の歩頭桂を放つなど飯塚四段も粘りを見せたが、まったく寄せ付けることなく勝ち切った。
本局も藤井四段の快勝譜。このところ負けが少なく、内容も良く並べていて非常に楽しい。
評価値
34手目桂を跳ねたところでは既に藤井四段に傾いている。その後は一度も先手に触れることなく勝利。お見事。
参考文献
- 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)
棋戦情報
第64期棋聖戦一次予選(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)