感想
真田圭一四段との一戦。真田四段とは過去2局の棋譜が掲載されていたが、真田四段昇段後初の対戦となる。
戦型は藤井四段の四間飛車に真田四段の天守閣美濃。藤井四段は☗3九玉型だが、4筋を取らない指し方だった。対左美濃藤井システムと言われる前の時代の将棋、様々な趣向が存在していたことが分かる。
52手目は桂損でも左銀で切り込んでいった図。
先手の形は最良で、後手陣は乱れてはいるが、空中に逃げ出されるので押し切れるかというと難しい。そこで53手目☗3七銀と、守りの銀が攻めに繰り出していった。
歩の手筋を駆使して69手目☗5五角と飛び出した手は待望の角の活用。この後飛車も捌いて、ここまでくると先手ペースかとも思わせる。
81手目には歩頭銀かつ馬取りの鬼手☗3六銀打!が飛び出した。
しかし☖2八銀の切り返しが上手く、結果先手の玉頭にと金が残ることになった。ここでは先手が苦しくなっているように見える。何か藤井四段に誤算があったか、もともと先手が良い訳では無かったか。
途中、後手玉は中段に一人彷徨う形になったが、逆に広さを活かされ、あと一押しが足りなかった。
評価値
仕掛けた辺りは先手側に振れているが、飛車を成り込んだ辺りは既に後手にやや傾いていた。仕掛けた辺りは有望だとしても、この形で優位を維持、拡大していくのは難しいかもしれない。となると81手目☗3六銀は勝負手だっただろうか。☖2八銀はノータイム。上手い切り返しだった。
参考文献
- 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)
棋戦情報
第62期棋聖戦一次予選(主催:産経新聞社、日本将棋連盟)