1994/5/30 島朗八段—藤井猛五段(王将杯)

感想

島明九段との戦い。非公式戦と公式戦ながら、2局連続は珍しい。

戦型は藤井五段の四間飛車に島八段の居飛車穴熊。居飛車穴熊も徐々に増えてきた印象がある。組ませて戦う時代の藤井将棋を楽しみに並べる人も多いと思う。

本局、藤井五段は一段玉で隙あらば仕掛けを狙う駒組みではあったと思うが、じっくり組み合う展開に。

島八段は☗7八飛から一歩入手を図る構想を見せ、藤井五段はその間に☖3五歩から反発する形を作った。組みあがってから比較的早めに戦いが始まった。

58手目☖3五歩で飛車角いっぺんに止められるのが気持ち良い。☖2四歩~☖2五歩と角を追いやって振り飛車が十分なのではないかと思った。銀冠も居飛車穴熊に負けていない。

島八段は67手目から☗2八飛☖1三桂、☗4八飛☖4三歩と揺さぶりをかける。後手陣を乱し、歩切れにさせた。しかし隙が無くなったとも言える。そこでじっと☗6八銀がA級の呼吸。ちょっとそんな形にして後手に動いてもらおうとしている。それに対して藤井五段は☖1二香!

動いて欲しい先手と動かない後手。それに☗6八銀が☗7七銀に移動すれば将来の端攻めや☖7九角成の筋が生じる。虚々実々の応酬で見ごたえのある中盤だ。

☗4七飛☖3六歩となって再び局面が動く。島八段が持ち歩を駆使して☗4四歩から捌きに行くが、86手目手にした歩で☖9五歩が入った。

後手も先手の動きを待った甲斐があった。この仕掛けであれば☗9六歩を咎めたような気持ちになる。桂香交換から☖9二香打の形になり、いつでも端から手を作れる形になった。

そして101手目飛車を追う☗3五桂を☖同角と食いちぎり、☖8五桂という攻め駒を端に追加した。既に穴熊は崩壊し、むしろ銀冠の方が固くなっている。さらに2筋から飛車を捌く筋もあり、藤井五段の攻めは止まらない。まだ玉が寄る局面ではないが、藤井五段の勝利が決まった。

島八段相手に見事な2連勝。本局も良い藤井将棋の一つだと思う。

評価値

評価値(Suisho5(20211123)-YaneuraOu-v7.6.3/1手15秒)

中盤はずっと難解だったようだが、端攻めあたりからは後手にどんどん傾いていった。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第44期王将戦一次予選(主催:毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟)