1995/7/28 藤井猛六段—東和男七段(順位戦)

感想

順位戦第2回戦、東和男七段と戦う。

戦型はまず藤井六段の四間飛車。玉側の端を受けず、穴熊にするのか美濃囲いにするのかなかなか明示しなかった。東七段も☖5三銀型に構えたもののその後どういう形を目指すのか明示しない。お互いに相手の形を見て自分の形を決めようとしており、じりじりとした序盤戦になった。

26手目☖4二銀上。居飛車穴熊はなくなり、位取り系の将棋が予想される。これを見て藤井六段は美濃囲いにした。30手目☖5五歩として、東七段の戦型が5筋位取りに決まった。

37手目☗3七桂までいくと先手は銀冠で立派な形。対して後手陣は貧弱な形ではあるものの、端と中央両方位を取って、仕掛けの権利を持っており、お互いに主張が見て取れる。

38手目、後手から仕掛けたが、藤井六段は手順に乗って駒を捌いていく。実に振り飛車らしい対応で勉強になる。51手目☗4八飛の局面は馬は作られているが振り飛車を持ってみたい。

しかし53手目☗4五銀とぶつけた手に☖5五銀とかわされ、歩切れの後手に歩が渡ることになった。☖8五歩なら角が死んでいるが、☗7五角と出て銀と刺し違えるつもりだろうか。後手は再び歩切れになり、その順は先手も十分やれそうだ。しかしじっと☖6七馬が厳しかった。☖5七歩という攻めもあるが、この手は☗8六角をこのまま封じ込める手でもあった。角を追われない内は☖8七飛成があるため☗7五角と出られない。ここではやや不利になっているだろうか。

藤井六段は☗3五歩と戦線を拡大する。この筋から後手陣に手がつくようになったが、当然反動もきつく、80手目☖3七銀から銀冠も一気に崩されてしまった。88手目☖3五歩が猛烈に厳しく、受けが難しくなっている。攻めが急所に入っており、以下寄せられてしまった。

B2で初の黒星。無念の1敗だった。

評価値

評価値(YaneuraOu(tournament128-cl4) NNUE 20240528/tanuki-wcsc34/1手15秒)

序中盤はほぼ互角。51手目☗4八飛の局面は先手を持ってみたいと思っていたが、そこも互角のようだ。55手目☗5六歩から後手に振れていた。ここでは☗1六歩の地獄突きがあったという。それで良くなるかどうかは分からないが、序盤の☖1五歩を逆用できれば気分は良い。

参考文献

  1. 藤井猛著『藤井猛全局集 竜王獲得まで』(日本将棋連盟発行/マイナビ出版販売)

棋戦情報

第54期順位戦B級2組(主催:毎日新聞社、日本将棋連盟)